研究課題
基盤研究(C)
グルタミン酸は中枢神経系における主要な興奮性伝達物質であり、その過剰な作用は神経細胞死をひきおこす。グルタミン酸トランスポーターは興奮性シナプスに放出されたグルタミン酸を回収することによってシナプス伝達を終結させるとともに、過剰な興奮から神経細胞を守っている。神経細胞の近傍には、ヒアルロン酸を骨格とする細胞外マトリクス構造のペリニューロナルネットがあり、神経系の成熟に関わっている。このヒアルロン酸の活発な合成が、グルタミン酸トランスポーターの活性を支え、神経伝達を適切に終了させ、過剰な興奮から神経細胞を保護していることを示すことができた。
ペリニューロナルネットは神経細胞の興奮と抑制のバランスに関わる。その異常は、集中力の発揮など多くの神経疾患で障害される高次機能に関わるとされるが、神経伝達においてどのような役割を果たしているかは不明であった。ぺリニューロナルネットの骨格をなすヒアルロン酸の合成が、グルタミン酸による伝達をピンポイントに絞ったものにすることを明らかにできたことで、組織病理的に観察される現象と、病態とをつなぐ知見が得られた。
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