研究課題
基盤研究(C)
本研究では,シロイヌナズナを用いた分子遺伝学的手法に加え,キュウリを用いて,水分勾配情報がどこで,どのように生物学的情報(遺伝子発現,植物ホルモン応答)に変換されるかを解析した。その結果,シロイヌナズナにおいては,根の伸長域の皮層細胞で水分勾配情報がアブシシン酸応答や水分屈性制御遺伝子(MIZ1,MIZ2)の機能といった生物学的情報へ変換されることが明らかになった。一方,キュウリでも水分勾配情報の生物学的情報への変換が根の伸長域で起こることが明らかになった一方,水分勾配情報の変換先はアブシシン酸応答ではなく,オーキシン輸送体の局在変化によるオーキシン動態の変化であることが明らかになった。
根の水分屈性は土壌中の水分勾配に応答して根が屈曲する現象で,植物の生存と生産に必須の機能である。本研究では,土壌中の水分勾配情報が根のどこでどのように生物学的情報へ変換されるかを研究し,根の皮層細胞において水分勾配という化学的情報が植物ホルモン応答や遺伝子発現といった生物学的情報へ変換されることを明らかにした。また,その情報変換機構には植物種間で異同があることも明らかにした。この成果を活用することで,温暖化により地球規模で拡大する乾燥地における効率的な作物育成などに応用できる可能性がある。さらに,植物根が持つ鋭敏な水分センサーの同定にもつながる可能性がある。
すべて 2020 2019 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)
Journal of Plant Research
巻: 133 号: 1 ページ: 3-14
10.1007/s10265-019-01153-3
Physiologia Plantarum
巻: 165 号: 3 ページ: 464-475
10.1111/ppl.12824
PLOS ONE
巻: 13 号: 1 ページ: 1-25
10.1371/journal.pone.0189827
New Phytologist
巻: 215 号: 4 ページ: 1476-1489
10.1111/nph.14689
Journal of Experimental Botany
巻: 68 号: 13 ページ: 3441-3456
10.1093/jxb/erx193
Nature Plants
巻: 3 号: 6 ページ: 17057-17057
10.1038/nplants.2017.57