研究課題
基盤研究(C)
本研究では、エダアシクラゲの明タイプ(明刺激により配偶子を放出)と暗タイプ(暗刺激により配偶子を放出)を対象に比較解析を行った。その結果、引き金となる光刺激は異なるものの、両タイプは共通したホルモンを用いて卵成熟に至ること、交配可能でありF1のハイブリッド個体は中間的性質を示すことを見い出した。しかしながら、明タイプと暗タイプのDNAの塩基配列の差異やF1ハイブリッド個体の不稔性などから、両者は種分化の途中または別種である可能性が高いと考えられる。
原始的な動物であるクラゲでは、光環境の変化に応じて卵成熟およびそれに続く放卵が起こることが知られていたが、真逆の刺激(明刺激と暗刺激)に反応するクラゲの比較解析が行われたのは本研究が初めてである。得られた結果は新規性が高く、動物における卵成熟機構の「進化」や「原型」の理解を促すものである。また、全国的に人気のある水族館でのクラゲ展示などにも影響を与える重要な成果であると考えている。
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