配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2018年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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研究実績の概要 |
寄生植物は, 他の植物に寄生し, 生活に必要な栄養分を吸収する性質をもつ植物である. 様々な系統群・バイオームに出現することから, 進化的に大きな成功をおさめている生活史特性といえるが, その種分化の歴史に関する知見は未だ不足している. 本研究では, 種内に倍数性, 繁殖様式や宿主選好性などの生態的特性が異なる複数の系統が存在することが示唆されている全寄生植物キヨスミウツボを対象として網羅的な系統地理解析および生態的特性の調査を行い, 種内系統の進化の過程を明らかにすることを目的とした. 全寄生植物の系統地理研究の事例自体が少なく, まして種内での遺伝構造の発達に生育環境や宿主の違いに加えて倍数化イベントが絡んでいると推測されるケースについての知見は世界的にも珍しい. したがって, 本研究で得られる知見は, 植物における寄生性の進化の歴史の解明に寄与すると考えられる. 本年度は, 北海道から鹿児島までの広い範囲からキヨスミウツボの採取を行い, 証拠標本シュートを対象に, 種子繁殖特性に関連する形質の測定・記録を行い, フローサイトメーターを用いた核内DNA量の測定によりどの系統に属すかを判定した. その結果, 2倍体と4倍体のみならず, 両者の中間的な性質をもつ3倍体の系統が不稔にも関わらず, 全国的に広く分布することが明らかになった. これらのサンプルについて, RAD-seq分析もしくはMIG-seq分析などのゲノムワイドで核ゲノム上の単塩基多型情報を収集することにより, キヨスミウツボの倍数性や生態的特性の異なる系統間および系統内の遺伝構造がどのようになっているのか, 種内系統の生態的特性の差異がいつ, どのように発生してきたのかについて明らかにすることができると考えられる.
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