研究課題
基盤研究(C)
根寄生雑草ストライガは宿主根が分泌する発芽刺激物質(ストリゴラクトン)を感知してから発芽する。したがって、ストリゴラクトン分泌量が少ない(あるいは発芽刺激活性の低いストリゴラクトンを分泌する)品種の根の近傍では、発芽するストライガ個体数が少なくなるため、その品種はストライガに寄生されにくい。このような品種はストライガに対して接触前抵抗性が高いと表現されている。最終年度は、ストライガ抵抗性コムギ品種を選抜するため、日本のコムギコアコレクションに含まれる品種の接触前抵抗性の評価を行った。接触前抵抗性は、コムギ品種を水耕栽培し、根からの分泌物を含む水耕液をストライガ種子に与え、発芽率を調査することで評価できる。コムギ55品種の評価が終了し、各品種を栽培した水耕液を与えた時のストライガ種子発芽率は0.1~44.1%となり、大きな品種間差が確認された。すなわち、日本のコムギ品種には、ストライガに対する接触前抵抗性に大きな差があることが明らかになった。この時、コムギの根乾物重は0.011~0.068gの範囲にあり、発芽率とコムギ根乾物重の間には有意な相関関係は認められなかった(r=0.053、p>0.70)。したがって、コムギ品種によるストライガ種子発芽刺激活性の違いは、根のサイズによって決まるのではなく、ストリゴラクトンの分泌量(あるいは種類)によって決まると考えられた。ストライガに対する接触前抵抗性が高い上位5品種は、JWC58(小麦農林16号)、JWC01(赤皮赤)、JWC86(キタカミコムギ)、JWC77(ユキチャボ)、JWC10(富国)であり、接触前抵抗性が低い下位5品種は、JWC38(筑前)、JWC91(小麦農林20号)、JWC39(1号早小麦)、JWC65(小麦農林55号)、JWC41(阿蘇在来(有芒褐ぷ))であった。
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