研究課題/領域番号 |
17K07715
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
中川 洋史 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30362081)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 酵母 / 過酸化水素 / 変異株 / マルチストレス耐性 / 変異遺伝子 / セルフクローニング / 次世代シーケンス技術 / 遺伝学 / 育種 |
研究実績の概要 |
本研究は、遺伝子操作技術を全く使用すること無く、有用形質を安定保持できる高機能実用酵母株を効率的に育種する方法を開発することを目的としている。本年度は、大別して下記の5件の研究成果を挙げた。 1.当研究室において実用酵母株のモデルとして遺伝学的解析の容易な実験室酵母株を用いて明らかにした1つのマルチストレス耐性変異の候補について、変異が生じた遺伝子の実用パン酵母株におけるホモ破壊株をセルフクローニングにより構築することに成功した。さらに、構築したホモ破壊株がマルチストレス耐性を有し、ストレス条件下における製パン試験において野生型株よりも良好な発酵力を示すことが示唆された。 2.当研究室において実験室酵母株で明らかにした1つの新規なマルチストレス耐性変異について、当該変異による実験室酵母二倍体株におけるホモ置換株が、野生型株と比較してストレス条件下において良好な発酵力を示すことが示唆された。また、関連した成果について国内学会にて学会発表を行った。 3.当研究室において実験室酵母株から同定した上記とは異なる1つの新規なマルチストレス耐性変異について、単コピー型ベクターで導入することで様々な実用パン酵母株にマルチストレス耐性を付与できることが示唆され、得られた成果について国内学会にて学会発表を行った。 4.実用パン酵母株から改良型の致死的濃度過酸化水素法により取得されたストレス耐性変異株について、ストレス耐性をさらに向上し形質を安定化するための実験を実施し、有用と考えられる知見を得た。 5.実用パン酵母株から自然発生型のマルチストレス耐性変異株を取得するための新規な手法を開発するための実験を実施し、有用と考えられる知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究室において明らかにした1つのマルチストレス耐性変異の候補について、変異が生じた遺伝子の実用パン酵母株におけるホモ破壊株のセルフクローニングによる構築および表現型の解析や、当研究室において実験室酵母株から同定した新規なマルチストレス耐性変異を様々な実用パン酵母株に単コピー型ベクターで導入した株の表現型の解析等により、実用酵母から致死的濃度過酸化水素法等により取得されるマルチストレス耐性変異株の原因変異遺伝子を同定する際に役立つ重要な知見を得ることに成功した。さらに、実用酵母株から改良型の致死的濃度過酸化水素法により取得されたストレス耐性変異株のストレス耐性をさらに向上し形質を安定化するために役立つと考えられる知見や、実用酵母株から自然発生型のマルチストレス耐性変異株を取得するための新規な手法を開発するために役立つと考えられる知見を得ることができた。しかし、有用形質を安定保持できる高機能実用酵母の効率的育種法の開発には至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
当研究室において実験室酵母株で明らかにした新規なマルチストレス耐性変異について、実用パン酵母株において当該変異を導入した株や変異が生じた遺伝子の破壊株の構築と表現型の解析を進める。さらに、上記と並行して実用パン酵母株から改良型の致死的濃度過酸化水素法等により取得されたストレス耐性変異株のストレス耐性をさらに向上し形質を安定化するための実験を行い、得られたストレス耐性向上株の変異遺伝子の解析等を実施する。以上により、有用形質を安定保持できる高機能実用酵母の効率的育種法の開発を行う。
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