研究課題
基盤研究(C)
本研究は、エチニルヘリセンオリゴマーの動的で可逆的な二重ラセン‐ランダムコイル構造変化を利用してマクロスケール運動機能性物質を開発することを目的とする。エチニルヘリセンオリゴマーの性質を分子構造によって精密制御したのち、自己組織化によって多数の分子が異方的・三次元的に集合した動的システムを構築する方法論を開発する。異方的なマクロ自立物質をボトムアップ的に構築し、構造変化に伴う分子長変化を増幅することで、マクロスケールの異方的な伸縮運動に変換する。期間中に、以下のことを行った。(1)異方的な集合体を得るため、末端にビシクロヘキシル骨格を含むサーモトロピック液晶部を有するオリゴマーを設計した。複数のモデル化合物を合成したが液晶性を示さず、構造の検討を続けた。また、これらのリオトロピック液晶形成を検討した。(2)超長鎖アルカンの結晶性を利用して異方的多層構造を得るため、炭素数128の超長鎖アルカン部を末端に有するオリゴマーを設計した。末端部となる超長鎖アルカン誘導体を合成し、物性を調べた。(3)末端部にトリエチレングリコール部を有するオリゴマーについて、擬鏡像異性体と混合するとリオトロピック液晶性を発現することを見出し、詳細を調べた。液晶から溶媒を除去すると長距離秩序を有する固体を形成した。また、貧溶媒中に射出すると長距離的に異方性を有する糸状の物質が得られた。電場や磁場などの配向場を要せず小分子の自己組織化によって長距離秩序を発現した希少な例であり、異方性物質構築のために有益な結果である。(4)異方性ある自立物質を得るため、オリゴマーを含む液晶ポリマーの合成を検討した。(5)これまでに開発したオリゴマーは熱刺激に応答性して二重ラセン‐ランダムコイル構造変化を行うものであった。pH変化や化学物質に応答して構造変化を行うオリゴマーを合成するため、含窒素ヘリセンの合成を進めた。
すべて 2019 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
Langumuir
巻: accepted 号: 14 ページ: 5075-5080
10.1021/acs.langmuir.7b04385
Molecules
巻: 23 号: 2 ページ: 277-277
10.3390/molecules23020277
Tetrahedron
巻: 73 号: 42 ページ: 6047-6051
10.1016/j.tet.2017.08.046
ChemistrySelect
巻: 2 号: 27 ページ: 8459-8464
10.1002/slct.201701356