研究課題
基盤研究(C)
腸内細菌叢が産生する酪酸、ヒスタミンやインターロイキン(IL)-4などの2型免疫反応を担う生理活性物質についてヒト結腸癌HCA-7細胞株を用いて検討したところ、酪酸そしてIL-4やヒスタミンは、プロスタグランジンE2刺激によるEP4受容体情報伝達系活性化を抑制することを明らかとした。酪酸やヒスタミン、そしてIL-4は、メカニズムこそ異なるが、EP4受容体の発現を抑制し、大腸癌悪性化シグナルを減弱させる可能性を明らかにできた。すなわち恒常性を維持するために必要な酪酸、そして2型免疫系細胞の産生するヒスタミンやIL-4などの生理活性物質は、大腸癌に対して改善効果を有する可能性が強く示唆された。
本研究は、短鎖脂肪酸を栄養学的側面からではなく本有的な生理活性物質としてとらえ、その癌制御作用の解析と共に、2型免疫を担う生理活性物質について、EP4受容体系への影響を中心に考究し、ホメオスタシス破綻時における大腸癌の発症そして改善の分子メカニズムを明らかにすべく取り組んだ。その結果、恒常性を維持するために必要な酪酸、そして2型免疫系細胞の産生するIL-4やヒスタミンなどの生理活性物質は、大腸癌に対して改善効果を有する可能性が強く示唆された。本研究により大腸癌発症機構の最初期を抑制できる可能性を示せたことで、これまでとは異なる新たな側面からの治療・予防薬の開発に繋げることができると考えている。
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