研究課題
基盤研究(C)
真菌の細胞膜に含まれるエルゴステロールを結合させたシリカゲル(ESシリカ)を新規分離材として開発し、新規物質を探索した。ESシリカと相互作用を示す放線菌培養液に含まれる二次代謝産物をスクリーニングした結果、27化合物が新規物質と推定できた。放線菌2株が生産する新規物質を単離・構造決定した結果、ジピリマイシンBとジエトジアミドCが発見できた。ジピリマイシンBはコア骨格にジピリジン構造を有する化合物であった。ESシリカ非結合物質である類縁体ジピリマイシンAは側鎖にカルボン酸、ジピリマイシンBは側鎖にアミド基が結合した構造的違いがあった。ESシリカに結合するためアミド基が重要であることが示唆された。
ジピリマイシンの結果からESシリカとの相互作用は化合物内にあるアミド基が重要であることがわかった。また、既知物質同定の結果から検出できた化合物のうち8割が窒素を含む化合物であった。ESシリカは既存樹脂であるODSやシリカと異なる特徴を示した。天然物の精製分野でESシリカを新規樹脂として提案することができた。ESシリカは新規樹脂(分離剤)として開発でき、共同研究先である富士シリシア化学と特許を共同出願することができた。ESシリカは富士シリシア化学から販売されたことは社会的意義として大きい。
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The Journal of Antibiotics
巻: 71 号: 5 ページ: 535-537
10.1038/s41429-018-0028-0