研究課題
基盤研究(C)
脳の細胞を産み出す神経系前駆細胞が細胞体を動かすための、全く新しいメカニズムを発見しました。脳室面隣接域で母細胞が細胞分裂するとき、周囲の細胞を押しのけ、変形させます。そして、押しのけられた細胞たちが元の形に戻ろうとする力を娘細胞が受け取り、自身を脳の外側に動かします。この「押したら変形し、元に戻ろうとする」という性質を利用する、とても合理的な仕組みが存在することが明らかになりました。この性質を利用した力の受け渡しが、神経系前駆細胞の動く方向に規則性を作り出し、途切れることのない細胞の産生と秩序を持った細胞の積み上がりをつくり出します。このおかげで正しい形に脳がつくられることがわかりました。
「再生医療」の核となるオルガノイドの形成過程では、細胞集団が自立的に秩序立った積み重なりを産み出すことが知られていました。この「自己組織化」の原理は、実はよく判っていなかったのです。本研究で明らかになった「力の受け渡しによる細胞産生・供給方向の秩序化」は、大脳発生のみに留まらず、多細胞の積み重なりに秩序を与えて組織を形成する過程の一般的な原理のひとつであると思われます。またヒトの脳は本研究でモデルとしたマウスよりも、はるかにたくさんの細胞が積み重なっています。もしかしたら、ヒトの脳ではより効率的で洗練された「力の受け渡し」メカニズムが存在しているのかもしれません。
すべて 2020 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 備考 (2件)
Development, Growth & Differentiation
巻: 62 号: 2 ページ: 118-128
10.1111/dgd.12648
Cell Reports
巻: 29 号: 6 ページ: 1555-1567
10.1016/j.celrep.2019.09.075
Nature Communications
巻: 10 号: 1 ページ: 2780-2780
10.1038/s41467-019-10730-y
120006649601
生化学
巻: 90 号: 6 ページ: 820-824
10.14952/SEIKAGAKU.2018.900820
PLoS Biology
巻: 16 号: 4 ページ: 2004426-2004426
10.1371/journal.pbio.2004426
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/research/pdf/PLOS_B_20180423.pdf
https://www.takaki-miyata-lab.org/