研究課題
基盤研究(C)
本研究は、腸管上皮が腸マイクロバイオーム代謝産物をいかに受容し、生理応答を惹起するか、また、この受容機構に対する働きかけを介し、過敏性腸症候群や、経腸栄養の際にしばしば問題となる下痢の発症を予防・治療するための基礎的知見を得るための実験を行った。本研究では腸マイクロバイオーム代謝産物として特に短鎖脂肪酸に注目し、ヒト腸管における腸粘膜機能の解析を行い、実験動物との違いを明らかにした。また、乳酸菌発酵産物を配合した飼料によってラットを飼育し、大腸マイクロバイオームと短鎖脂肪酸濃度を解析するとともに、腸粘膜上皮機能の生理学的解析を行い、実際に生理機能の変化を明らかにすることができた。
近年、腸マイクロバイオームが腸管のみならず全身の生理作用に影響を与えていると考えられるようになってきたが、腸マイクロバイオームがどのように全身の機能にまで影響を与えているのかは、現時点ではほとんど不明である。研究代表者は、その作用機序には、腸粘膜上皮に存在するの管腔内化学受容機構を介して、神経系・内分泌系・免疫系に働きかける機構が関与していると考えている。したがって、管腔内化学受容機構を解明することで、私たち自身が腸管管腔側から直接、全身の生理作用に働きかけることができれば、医薬品や機能性食品の新たなターゲットになる可能性がある。本研究の成果は、そのさきがけになり得るものと考えている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件)
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