RNA Sequenceを用いた粘液性肺腺癌の解析

• 研究課題/領域番号: 17K08715
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 人体病理学
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 坂下 信悟 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40620638)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2019-03-31
• 研究課題ステータス: 中途終了 (2018年度)
• 配分額: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円); 2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円); 2018年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円); 2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
• キーワード: 肺腺癌 / 粘液型肺腺癌 / RNA sequence

研究実績の概要

浸潤性粘液性肺腺癌は、WHO第4版で新たに定義された腺癌の1亜型である。この腺癌は、臨床的にも分子生物学的にも通常型肺癌と異なる性質を持つことが知られている。例えば、通常型に比べて肺内転移を来しやすいなどの特徴がある。浸潤性粘液性肺腺癌については、取り切れれば非常に予後が良いものから、肺内転移を高度にきたし、死に至らしめるものまで様々な悪性度の腫瘍が包括されるが、それらの悪性化メカニズムに関しては、あまり知られていない。今回申請者は、早期の浸潤性粘液性肺腺癌および進行期の浸潤性粘液性肺腺癌の新鮮凍結材料からmicrodissection法を用いてRNAを抽出し、RNA sequence法を用いて解析し、比較検討を行った。まず、Edge R法を用いて発現解析を行った。p<0.05、Fold change>50をカットオフとして解析を行ったところ、進行している浸潤性粘液性肺腺癌において発現が亢進している遺伝子が66種類同定された。DAVIDを用いた検索においては、chromatin organizationに関する遺伝子群に最も差があるという結果であった。申請者は、その遺伝子リストにおいても含まれているHMGA2という遺伝子に注目した。また、IPAを用いたTop Analysis-Ready Molecules においても、発現解析のp-valueにおいてもfold changeにおいても候補として挙がったMUC16という遺伝子にも注目した。次に、1999年～2015年までの肺腺癌手術材料の浸潤性粘液性腺癌35例についてHMGA2およびMUC16に対する免疫組織化学を用いて検索を行った。浸潤性粘液性腺癌の死亡例は3例であったが、いずれもHMGA2、MUC16が高発現していた。以上の結果から、HMGA2とMUC16の高発現が浸潤性粘液性肺腺癌の悪性化に関与している可能性が示された。

研究成果

• [雑誌論文] Case report of three EGFR TKI naive lung adenocarcinoma containing double EGFR mutations (L858R/T790M or Exon 19 Deletion/T790M); Comparing genetic information and histology (2018)
  • 著者名/発表者名: Sakashita Shingo、Shiba-Ishii Aya、Murata Yoshihiko、Sekimoto Ryutaro、Minami Yuko、Sato Yukio、Noguchi Masayuki
  • 雑誌名: Pathology - Research and Practice 巻: 214 号: 8 ページ: 1224-1230
  • DOI: 10.1016/j.prp.2018.05.016
• [雑誌論文] Heterotopic production of ceruloplasmin by lung adenocarcinoma is significantly correlated with prognosis (2018)
  • 著者名/発表者名: Matsuoka Ryota、Shiba-Ishii Aya、Nakano Noriyuki、Togayachi Akira、Sakashita Shingo、Sato Yukio、Minami Yuko、Noguchi Masayuki
  • 雑誌名: Lung Cancer 巻: 118 ページ: 97-104
  • DOI: 10.1016/j.lungcan.2018.01.012
• [雑誌論文] High expression of ovarian cancer immunoreactive antigen domain containing 2 (OCIAD2) is associated with poor prognosis in lung adenocarcinoma (2018)
  • 著者名/発表者名: Sakashita Mai、Sakashita Shingo、Murata Yoshihiko、Shiba-Ishii Aya、Kim Yunjung、Matsuoka Ryota、Nakano Noriyuki、Sato Yukio、Noguchi Masayuki
  • 雑誌名: Pathology International 巻: 68 号: 11 ページ: 596-604
  • DOI: 10.1111/pin.12724
• [雑誌論文] A case of microscopic, multiple sclerosing pneumocytoma (2018)
  • 著者名/発表者名: Kawai Hitomi、Takayashiki Norio、Otani Haruo、Sakashita Shingo、Noguchi Masayuki
  • 雑誌名: Pathology International 巻: 68 号: 3 ページ: 196-201
  • DOI: 10.1111/pin.12648
  • 査読あり
• [雑誌論文] The prognostic significance of N-myc downregulated gene 1 in lung adenocarcinoma (2018)
  • 著者名/発表者名: Dai Tomoko、Dai Yuichi、Murata Yoshihiko、Husni Ryan Edbert、Nakano Noriyuki、Sakashita Shingo、Noguchi Masayuki
  • 雑誌名: Pathology International 巻: 68 号: 4 ページ: 224-231
  • DOI: 10.1111/pin.12644
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Cyclophilin A expression and its prognostic significance in lung adenocarcinoma (2017)
  • 著者名/発表者名: Noriyuki Nakano, Shingo Sakashita, Ryota Matsuoka, Yoshihiko Murata, Aya Shiba-Ishii, Naohiro Kobayashi, Yukio Sato, Masayuki Noguchi
  • 雑誌名: Pathology International 巻: 67（11） 号: 11 ページ: 555-563
  • DOI: 10.1111/pin.12593
  • 査読あり