研究課題
基盤研究(C)
融合遺伝子の検出にはDNAよりもRNAを用いた解析が望ましいことも報告されているため、RNAを用いてチロシンキナーゼ受容体をコードする遺伝子の不均衡発現を観察することにより、チロシンキナーゼ受容体を含む融合遺伝子形成の有無を探索し、肉腫ではほとんど報告のないROS1融合遺伝子を平滑筋肉腫で、さらにはNTRK3融合遺伝子を有する骨平滑筋肉腫を発見した。分子標的治療薬に対する著効例とその他の抵抗性を示す症例との間での遺伝子・タンパク質発現の変化を比較したところ、pazopanib著効例ではGLI/CDK4の高発現(遺伝子増幅を伴う)があり、遺伝子増幅がないことを見出した。
骨軟部肉腫ではこれまでに融合遺伝子腫瘍が存在することはわかっていたが、肺腺癌のような直接の分子治療標的となるようなものはなく、それゆえこれまで治療に難渋していたが、今回の研究成果により骨軟部肉腫においても有効な治療標的となりうる新規の融合遺伝子が発見され、今後も探索の方法を工夫することにより、これまで思っていた以上の頻度で肉腫においても同様の遺伝子異常が発見される可能性があるという意味で大きな成果である。また、これらの治療には治療抵抗性・耐性の問題が切り離せないが、それらに影響を与える遺伝子異常を見つけられたことで、臨床的な治療戦略にも貢献すると考えらえる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 2件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 10件)
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