研究課題
基盤研究(C)
熱帯熱マラリア原虫は、人体に侵入後赤血球に寄生し増殖する。赤血球に寄生した原虫は、多数の膜構造で囲まれておりこれら膜を介して物質輸送や生存に必要なタンパクや関連分子の輸送を行う。特に、この物質輸送は、ヘモグロビンや栄養分の取込等に関わる。しかしながら、その機構の大部分はわかっていない。本研究では、熱帯熱マラリア原虫に存在するダイナミン関連タンパクが、膜間輸送の基盤である膜変形を顕著に起こすことをin vitroの系を用いて明らかにした。また、この変形はGTPが関与する可能性を発見した。現在、さらに電子顕微鏡、原子間力顕微鏡を用いて、この機構の詳細を解析している。
マラリアは3大感染症の一つであり、世界で最も被害の大きい寄生虫感染症である。抗マラリア薬は主要な治療法であるが、薬剤耐性の出現、拡散により、その対応が急務である。熱帯熱マラリア原虫は、赤血球に寄生すると膜輸送を発達させ栄養分を取り込み、また複雑な膜輸送を伴う寄生環境を構築する。この膜輸送に必須である膜制御タンパク候補をみつけ、その性状を解析した。このタンパクの機能阻害は、膜輸送の不全を引き起こすと考えられる。この知見から、これらタンパクを標的に抗マラリア薬の創製が可能となった。本研究の進展は、原虫生理の理解と創薬の展開に大きく寄与していくものと考えられ、その医学薬学的意義も深い。
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