研究課題
基盤研究(C)
大腸上皮細胞に発現するE-NTPD8を欠損させたマウスでは、便中ATP濃度の上昇、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性大腸炎およびアゾキシメタン/DSS誘導性大腸癌の重篤化が示された。Entpd8/P2rx4二重欠損マウスでは、Eentpd8欠損マウスにおける好中球の増加を原因とするDSS誘導性大腸炎の増悪が抑制された。P2rx4欠損大腸好中球では、野生型細胞で示されたATPgS刺激依存的な細胞死抑制が誘導されなかった。これらの結果より、大腸上皮細胞に発現するE-NTPD8による腸管腔内ATPの分解は、好中球の寿命延長を阻害し、大腸炎の重篤化および大腸癌の発症を防ぐことが明らかとなった。
潰瘍性大腸炎とクローン病に大別される炎症性腸疾患(IBD)は、大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍が生じる難治性疾患である。IBDは、「遺伝的素因」「環境」「腸内細菌」「上皮バリア」「免疫応答」が複雑に関わり合う多因子疾患のため未だ根治的治療法が確立していない。上皮細胞に発現する膜型ATP分解酵素E-NTPD8による腸内細菌由来の腸管腔内ATP分解がP2RX4シグナルを介した好中球による腸管炎症増悪を抑制することを明らかにした本研究の成果は、ATP/E-NTPD8/P2RX4といったIBD治療法の新規標的分子を同定した点で非常に意義深いものといえる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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巻: -
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