研究課題
基盤研究(C)
AGE(Advanced Glycation End Products=終末糖化産物)は、生体内におけるグルコースおよびその代謝中間体の分解物とタンパク質が結合した物質の総称であり、老化を進行させるだけでなく、糖尿病血管合併症、神経変性疾患、悪性黒色腫など多くのメタボリックシンドロームの合併症病態に関与する因子として注目されており、NASH発症および病状進展に深く関与することが報告されている。肝細胞や肝星細胞にはAGEのレセプターであるRAGEが発現しており、肝臓内でのAGEによるROS産生にはRAGEを介した作用(AGE-RAGE系)が重要であることが明らかとなっている。これまで我々は、レニン-アンギオテンシン系がAT1受容体を介して肝線維化進展に関わっていることを報告するとともに、その肝線維化進展メカニズムにおいてAGE-RAGE系への繋がりが重要であることを明らかにし報告してきた。さらに、NASHモデルマウスでは血清中AGEが上昇しているだけでなく肝臓内のRAGE発現が亢進し、AT1受容体阻害剤(ARB)にて抑制できる実験結果を得ている。以上のように、NASHの病状進展にAGE-RAGE系が重要な役割を果たしていることが明らかであるものの、その詳細なメカニズムは解明されていなかった。そこで、昨年から本年にかけての我々の研究では、AGE-RAGE系の活性化によりNASH肝線維化進展が進行することが明らかとなり、さらにはRAGE欠損マウスを用いたNASH発症マウスの実験系において、肝脂肪化の抑制は軽度であるにも関わらずNASH肝線維化進展は著明に抑制することが明らかとなった。さらに、その作用としてEgr-1, ERKの発現亢進およびリン酸化の亢進、さらにはRAGEのanchor moleculeであるmDia1の発現亢進などを介するメカニズムがNASH肝線維化進展に重要であり、RAGE欠損マウスにおいてはそれらの因子の活性化が著明に抑制されていることが明らかとなった。以上のように、研究助成により一定以上の研究成果が上がっている。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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