研究課題
基盤研究(C)
急性冠症候群は動脈硬化巣の表面を覆う線維性被膜の障害とそれに伴う閉塞性血栓の形成が主因となって発症する。本研究では、冠動脈疾患を対象として近赤外線による光干渉断層法(OCT)を用い、心血管イベントの発症に繋がる不安定な動脈硬化巣の同定と安定化による予防法を確立することを目的として実施した。ヒト冠動脈硬化病変から得た組織標本をOCTで観察することにより、不安定な動脈硬化巣には、脂質沈着に加えて、プラーク内出血、周辺の微小石灰化を伴う特徴があることを示した。さらに本研究では、これらの冠動脈プラークはPCSK-9阻害薬投与による強力なLDL低下治療によって、安定化がもたらさせることを明らかにした。
従来、動脈硬化症のイベント発症には動脈壁への多量の脂質沈着と線維性被膜の破綻が端緒となると考えられてきた。しかし、近赤外線による光干渉断層法(OCT)を用いた本研究の結果により、脂質沈着によるプラークの破綻機序に加えて、プラーク内出血、周辺の微小石灰化を伴う病変が不安定化の別の因子として病態に関わることが明らかになった。また、これらのプラークの不安定性は、PCSK-9阻害薬投与による強力なLDL低下治療によって、安定化がもたらさせることが示された。本研究の結果によって、急性冠症候群に対する新たな予防法と治療法の確立に貢献できると期待される。
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