研究課題/領域番号 |
17K09585
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西山 崇比古 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20464844)
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研究期間 (年度) |
2022-11-15 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | RBM20 / 遺伝子編集 / 拡張型心筋症 / 環状RNA / 心筋症 / iPS細胞 / 心筋分化 / non coding RNA / 環状RNA / 再生医学 |
研究開始時の研究の概要 |
拡張型心筋症の中でも、タイチン(TTN), ラミンA/C (LAMN A/C)が世界的にも患者数が多く、国内でも多数の心筋症患者が同定されている。病的変異を有する心筋は収縮力が低下し、不整脈を起こしやすい状態にある。遺伝子編集によって、異常心筋の収縮力や催不整脈性を改善することができれば、多くの患者の新規治療を届けるための礎を築くことができる。現段階では治療法が確立されていない疾患であっても、既存の薬物治療ではなく、新たな治療戦略を提唱することで社会的にも貢献する。さらには心疾患だけではなく多くの遺伝子疾患の治療への発展が今後期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、非コーディングRNAでもまだ機能が十分に解明されていない 環状RNAに着目している。かつては意味のない配列と考えられていた非コーディングRNA であるが、今までは転写制御に関する重要な機能を持つことがわかってきている。今までにも、心臓発生では心筋特異的microRNA配列の解析が進んでおり、心臓 で高発現するmicroRNAの特異的欠損マウスでは、心臓に重大な欠陥を呈することがわかってきている。その研究段階で、心臓のさまざまな遺伝子のスプライングに関与するRNA binding protein 20(RBM20)は多くのnon coding RNAを産生することが判明した。ヒトに認められる家族性拡張型心筋症では、多くの遺伝子異常が関与しているが、RBM20遺伝子も重要な候補遺伝子であることが知られている。また、RBM20遺伝子の異常はホットスポットを有しており、遺伝子異常の多くが一定のRSRSP領域に集まっている。遺伝子編集技術を用いて、遺伝子異常の修復を行うことでRBM20関連拡張型心筋症の治療開発を目指すとともに、遺伝子変異による非コーディングRNAの関与による機序を解明することを目指している。 最近の研究によ り、哺乳動物細胞中に数千の内在性circRNAが発見された。 CircRNAはエクソンまたはイントロン配列から大部分生成され、そして逆相補配列またはRNA結合タン パク質(RBP)がcircRNA生合成には必要である。 circRNAの大部分は種を超えて保存されており、RNase Rに対して安定で耐性があり、そしてしばしば組織/発生 段階特異的な発現を示します。最近の研究では、circRNAがmicroRNA(miRNA)スポンジ、スプライシングと転写の調節因子、そして親遺伝子発現の修飾因子とし て機能できることが明らかにされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトに認められるRBM20遺伝子変異であるR634Q、R636S変異の遺伝子異常の修復のための遺伝子編集技術の構築を行なった。RSRSP配列の遺伝子変異では、RBM 20タンパク質が核内に移行できなくなり、細胞質内に異常顆粒の蓄積を起こすことで心不全を重症化させることがわかってきた。CRISPR (Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat)の発見以降、技術の飛躍的な発展により、遺伝子編集治療は様々な疾患に対する新規治療として期待されています。今回、Adenine base editing (ABE)と呼ばれる一塩基置換(A:T→G:C)を可能にした遺伝子編集技術を用いることで、RSRSP配列内の遺伝子変異の一つであるRBM20R634Q変異(c.1901 G>A)の修復を、R636S変異(c.1906 C>A)に対して、Prime editing (PE)と呼ばれる遺伝子編集技術を試みました。それぞれの遺伝子異常を修復することに成功したが、より効率的なデリバリー技術を開発する必要性がある。現在はアデノ随伴ウィルスを用いることが多いが、免疫応答や多くの問題があることも事実である。そのため、非ウィルス性のデリバリーシステムの検討を行う必要性があり、現在はその方法を検討しているためにやや進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Base editingとPrime editingのコンポーネントのサイズは大きく、アデノ随伴ウィルスで運搬する場合には分割して別々のウィルスベクターに入れる必要性がある。そのため、サイズに余裕のある非ウィルス性ベクターの開発とその評価が必要である。近年、脂質ナノ粒子やウィルス様粒子を用いたドラッグデリバリーの技術が躍進しており、この技術を用いた遺伝子編集技術の運搬技術の開発が行われている。しかし、心筋へのデリバリー技術の評価はされた論文はなく、今後の課題である。 RBM20は多くは心筋細胞に発現しており、心筋細胞へのデリバリーシステムの評価には適している。今後は、R634QやR638Sの遺伝子編集ができることは確率しており、iPS細胞心筋へマウスモデルを用いてデリバリーシステムの検証を行う。
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