研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は肺高血圧症における腸内細菌叢の異常の有無の検討とその異常が肺高血圧症の病態発生に与える影響について検討することにあった。肺高血圧症モデルラットにおける腸内細菌叢解析では肺高血圧症でない対照群のラットと比較し、腸内細菌叢の組成が異なることを明らかにした。特に肺高血圧症ラットに4種類の抗菌薬の投与を行った実験では、抗菌薬を投与されたラットでは有意に収縮期右室圧や右室肥大などの血行動態の悪化が抑制され、肺血管変化も軽度にとどまった。
本研究の意義は腸内細菌叢の異常が肺高血圧症の病態進展に与える要因の一つとなりうること、何らかの方法により腸内細菌叢を改変することで肺高血圧症の進行を予防することができることを明らかにした点にある。これまでBMPR2やALK1などの肺高血圧症と関連した遺伝子異常を持つなどの明確なリスクを持っている患者において発症を予防する方法は発見されていなかった。本研究の成果は何らかの方法で腸内細菌叢を改変することで肺高血圧症の進行を予防することができる可能性を示すものである。さらに将来的には腸内環境を整える食生活の改善、腸内ワクチンによる肺高血圧症予防法の開発へつながっていくことも期待される。
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Pulmonary Circulation
巻: - 号: 3 ページ: 1-10
10.1177/2045894020929147