研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)に対する肺胞マクロファージ由来IGF-1の作用を明らかにすることとした。まず、ヒト末梢血から純化した単球からマクロファージに分化させる方法、および単芽球様細胞株U937細胞をマクロファージに分化させる方法を確立した。それらの細胞によるIGF-1の産生を確認した上で、NHLFと共培養する系、マクロファージ培養上清を添加しNHLFを培養する系を確立した。抗IGF-1抗体およびIGF-1レセプター阻害薬であるLinsitinibを加え、共培養あるいはマクロファージ培養上清を加えてNHLFを培養すると、培養上清中の炎症性サイトカイン値が有意に低下した。
IPFの根本治療は肺移植しか存在しないことから、IPFは呼吸器診療において最も新規治療薬の開発が待たれている疾患の一つであると言える。本研究から、マクロファージ由来のIGF-1が肺線維芽細胞に直接作用し、サイトカイン産生を誘導することが判明したが、IGF-1は肺以外にも生体維持機構で重要な役割を演じるため、治療標的にしにくい現状がある。本研究から、IGF-1がマクロファージ由来と考えられ、治療標的細胞を肺胞マクロファージに絞った上で治療標的にしうる可能性が示唆された。
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