研究課題
基盤研究(C)
当院で2012年1月からの5年間に手術療法を行った肺線維症(IPF)合併肺癌を試験群、年齢、病期、組織型等を調整した症例を対照群とし、無再発生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、腫瘍に浸潤する制御性T細胞(Treg)および細胞傷害性T細胞(CTL)の検討を行った。IPF合併肺癌はPFS、OSとも有意に悪く、予後因子として腫瘍浸潤Treg数の増加、CTL/Treg比の低下が関連していた。ブレオマイシン誘導肺線維症モデルに肺癌細胞株を接種し、IPF合併肺癌モデルを作成した。IPF合併肺癌モデルでは、腫瘍が顕著に増加、増大しており、腫瘍へのTreg浸潤が線維化と腫瘍増大と関連する事が示唆された。
肺線維症合併肺癌患者の予後不良因子の免疫学的機序の1つとして、制御性T細胞(Treg)の腫瘍浸潤の増加および細胞傷害性T細胞/Treg比が低下する事が明らになった。更に、肺線維症合併肺癌マウスモデルにおいて、腫瘍増大および肺線維化の双方にTregの関与が示唆された。肺線維症合併肺癌の治療において腫瘍増大および肺線維化の両方を抑制する治療ターゲットとしてTregの重要性を示唆する知見が得られた。今後、抗体によるTregの除去やTregの分化、活性化および増殖に関与する遺伝子や分子を標的とした治療の開発により、肺線維症合併肺癌の治療成績の向上につながると考えられる。
すべて 2021 2020 2019 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件)
Thoracic Cancer
巻: 12 号: 9 ページ: 1457-1460
10.1111/1759-7714.13935
World Neurosurg
巻: 132 ページ: 680-686
10.1016/j.wneu.2019.08.049