研究課題
基盤研究(C)
本研究は、TNF-αとは独立してTNFレセプターに結合するGP88(progranulin)の悪性リンパ腫における役割を検討した。岐阜大学医学部附属病院に入院した悪性リンパ腫症例の保存血清を用いて、血清GP88をELISA法にて測定し、異常高値群を抽出した。同時に診断時生検検体のparaffin切片材料を用いてGP88タンパク質発現を検討し、リンパ腫細胞に強発現している症例を確認した。悪性リンパ腫における血清GP88タンパク過剰発現の予後因子としての有用性を検討し、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫症例において血清GP88高値症例は低値症例と比較して有意に予後不良であることを確認した。
悪性リンパ腫の慢性炎症からの発がんは疫学的に証明されているが、その分子的機序については、本質的な発がんと慢性炎症を線引きするような決定的な分子の発見には至っていない。本研究にて、TNFαと結合を同じくするGP88が血液中で上昇している悪性リンパ腫は予後不良であることを明らかにした。GP88をターゲットとした悪性リンパ腫の、あらたな分子標的薬剤の開発に寄与するものと考えられる。さらには、同じくGP88高発現による難治性悪性腫瘍などへの応用も十分可能である。
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