研究課題
基盤研究(C)
悪性リンパ腫の発症には、ウイルスなどの微生物感染や慢性炎症が関与することが多い。その多くはEpstein-Barr(EB)ウイルス感染を伴い、その感染と長期的な慢性炎症が腫瘍化と密接に関連する。今回、慢性炎症関連EBウイルス陽性リンパ腫細胞はケモカインCCL12とCCL22を発現し、その受容体であるCCR4陽性制御性T(Treg)細胞を自らの腫瘍部位におびき寄せることを見出した。免疫を抑制する働きのあるTreg細胞を腫瘍部位に遊走させることで、腫瘍が免疫の監視から逃れてがん化を促進することが示唆された。
Epstein-Barr(EB)ウイルスは成人のほとんどが感染している身近なウイルスであるが、リンパ腫という血液腫瘍も発症させるウイルスである。EBウイルス関連リンパ腫の発症には、ウイルスが人の免疫機構から巧みに逃れていることが予想されているが、その詳細なメカニズムは明らかにされていなかった。今回の研究は慢性炎症関連EBウイルス陽性リンパ腫の腫瘍免疫回避機構におけるケモカイン系の役割を解明したものである。このような分子を標的にすることにより、難治性の要因となる免疫抑制的な環境を破綻させる効果が期待でき、新たな治療法の開発に向けての基盤データを提供することができた。
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