研究課題
基盤研究(C)
我々はJAK-STAT系の活性化が急性リンパ性白血病細胞の増殖活性に重要であるという仮説に基づき、164名の小児急性リンパ性白血病患者のJAK-STAT系の抑制因子であるLNKの発現レベルを解析し、LNKの発現低下が予後不良と関連する事を明らかにした次に、LNKをマウスの白血病細胞株Ba/F3細胞に強制発現させるとJAK2/STAT5のリン酸化レベルの低下と、プレドニゾロン感受性の増加がみられる事を明らかにした。一方、LNKの機能喪失型変異体を導入しても、上記の現象は見られなかった。以上の結果から、JAK-STAT系の抑制がプレドニゾロン感受性に重要であることが示唆された。
我々の研究で、急性リンパ性白血病の細胞増殖に関わるJAK-STAT経路という箇所を抑制する事によって、ステロイドに代表される従来からの治療薬の効果が増すことが明らかとなった。この事は、従来の薬剤の効果が乏しい急性リンパ性白血病にたいして、JAK-STAT経路を様々な手法で抑制する事が、薬剤の効果を高める可能性を示した点に学術的な意義があると考えられる。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Br J Haematol
巻: - 号: 2 ページ: 327-330
10.1111/bjh.14981