研究課題
基盤研究(C)
心不全を合併した先天性心疾患における心筋代謝変化を検討した。幼若家兎の先天性心疾患モデル (CHD群)では、偽手術群と比較し脂肪酸代謝およびエネルギー産生量が有意に低下した。心筋組織では脂肪酸β酸化酵素(β-HAD, LCAD)の翻訳後修飾(アセチル化)がCHD群で減弱し、酵素活性や脂肪酸代謝率の低下と関連した。ミトコンドリアアセチル基転移酵素(GCN5L1)の蛋白発現がCHD群で低下しており、培養心筋細胞を用いてGCN5L1の遺伝子欠損操作を行うとLCAD, β-HADのアセチル化は減弱し細胞は病的心肥大を呈した。外科的修復術を受けた先天性心疾患患者の心筋サンプルでも同様の現象が確認された。
診断や外科手術の目覚ましい進歩により小児先天性心疾患の出生後の予後は飛躍的に向上した。しかし、成人以降も心不全を合併し日常生活が著しく障害されるため病態解明が急務である。本研究は先天性心疾患における病的心肥大の分子基盤として、代謝酵素の翻訳後修飾であるアセチル化の減弱と、それに伴う脂肪酸代謝の成熟化遅延を同定した。アセチル化促進を標的とした新たな治療が先天性心疾患に合併する心不全に有効かもしれない
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