研究課題
基盤研究(C)
左室心筋緻密化障害のin vitro研究を困難にさせている理由の一つは心筋細胞のsingle cellの情報が不足していること及びそのsinglecellから構築される2次元、3次元構造の再現が時間軸をひとつの変数として関与するため、基本的には4次元の発生学として理解する必要があること、更にはそれを生体外の世界で再構築する必要があるためである。マウスを使ったin vivoの系では、リアルタイムに心臓の発生を観察することは難しい。そこで我々はhuman induced pluripotent stem cell (hiPSC)細胞を心筋細胞へ分化させ、個々の心筋細胞の機能を解析することと、一方で3次元空間的に心筋細胞を培養することから実験系を構築した。比較的簡易でかつ再現性のある3次元細胞培養技術の開発に成功し、それを用いた心臓モデルを作成することで、実際のヒトの心筋細胞における形態や機能の変化および分子生物学的な病態の解明を図ろうとした。しかし、実際に細胞の免疫染色や心筋の組織染色を行うと実際の心筋組織とは依然大きな隔たりがあることが判明した。依然モデル実験系としては多くの改良が必要と考えられた。一方で、遺伝子工学的な手法として、CRISPR-Cas9システムを用いた当該遺伝子特異的なKnockInモデルを構築すべく、変異遺伝子を組み込んだプラスミドベクターの作成を行った。HEC293細胞を用いた実験では組み換えは比較的効率に確認されたが、H9C2やhiPSCを用いた場合にはうまく機能しなかった。病的モデルとしての遺伝子組み換えhiPSCを作成し、その病的な心筋のレスキュー実験を行うことでV407I-BMP10が病因遺伝子であることを同定する計画であったが、多くの課題が浮き彫りとなっている現状である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件)
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