メラトニン・オレキシン神経伝達を視点にしたせん妄予防，治療，病態評価の総合研究

• 研究課題/領域番号: 17K10342
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 精神神経科学
• 研究機関: 順天堂大学
• 研究代表者: 八田 耕太郎 順天堂大学, 医学部, 教授 (90337915)
• 研究分担者: 中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476) ; 内村 直尚 久留米大学, 医学部, 教授 (10248411) ; 西村 勝治 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60218188) ; 岸 泰宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60256930) ; 竹内 崇 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (70345289) ; 杉田 学 順天堂大学, 医学部, 教授 (20322414) ; 臼井 千恵 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70453587)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2019年度)
• 配分額: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円); 2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円); 2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円); 2017年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
• キーワード: せん妄 / 予防 / メラトニン / オレキシン / ラメルテオン / スボレキサント / メラトニン受容体 / オレキシン受容体 / 予測 / 治療 / リエゾン精神医学

研究成果の概要

転倒リスク、身体疾患の重症度、その後の認知症発症、フレイル促進、生命予後に関わるせん妄について、メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬の予防効果を実臨床で大規模に検証した。その結果、前夜せん妄が出現しなかったせん妄リスク患者、および前夜せん妄出現した患者の当夜の不眠対策としてメラトニン受容体作動薬およびオレキシン受容体拮抗薬がせん妄予防的に作用していることが実臨床において示唆された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

RCTで実証されているラメルテンおよびスボレキサントのせん妄予防効果が実臨床で大規模に実証された。本研究成果によってせん妄予防的な不眠対策が広く普及すれば、せん妄出現を減らすことができる。これは、せん妄出現の際に一般的に投与される抗精神病薬の使用頻度の減少につながる。抗精神病薬の使用減少は、その副作用としての錐体外路症状とそれに伴う誤嚥性肺炎や心血管性イベントのリスクを減じることにつながり、高齢者にとって著しい利益となる。同時に、従来不眠症に日常的に使用されてきたが転倒骨折やせん妄惹起のリスクがあるベンゾジアゼピン受容体作動薬の投与も減じることにつながり、これも高齢者にとって著しい利益となる。

研究成果

• [国際共同研究] アイオワ大学(米国)
• [雑誌論文] せん妄の臨床指針－せん妄の治療指針第2版 (2020)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 精神医学 巻: 62
• [雑誌論文] 高齢者のせん妄の要因とリスク因子、早期診断、早期介入法 (2020)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: Geriatric Medicine 巻: 58
• [雑誌論文] せん妄リスク患者の不眠にはどう対応するか (2020)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 月刊薬事 巻: -
• [雑誌論文] せん妄と睡眠薬との関連について (2020)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: クリニシャン 巻: 682
• [雑誌論文] Real-World Effectiveness of Ramelteon and Suvorexant for Delirium Prevention in 948 Patients With Delirium Risk Factors (2019)
  • 著者名/発表者名: Hatta Kotaro、Kishi Yasuhiro、Wada Ken、Takeuchi Takashi、Hashimoto Naoko、Suda Kiyoko、Taira Toshihiro、Tsuchida Kazuo、Ohmori Takashi、Akizuki Nobuya、Nishio Yuko、Nakanishi Yukiko、Usui Chie、Kurata Akiko、Horikawa Naoki、Eguchi Hiroshi、Ito Shigeo、Muto Hitoshi、Nakamura Hiroyuki、Uchimura Naohisa
  • 雑誌名: The Journal of Clinical Psychiatry 巻: 81 号: 1
  • DOI: 10.4088/jcp.19m12865
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 精神神経科領域 この5年の進歩 (2019)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 内科 巻: 124 ページ: 1972-1974
• [雑誌論文] 向精神薬の特徴と使い方－⑤抗精神病薬 (2018)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 月刊薬事 巻: 60 ページ: 1807-1013
• [雑誌論文] せん妄の治療と予防 (2018)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 精神科救急 巻: 21 ページ: 24-27
• [雑誌論文] 心理状態を左右する身体疾患 (2018)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 臨床心理学 巻: 18 ページ: 668-670
• [雑誌論文] 認知症とせん妄の鑑別 (2018)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 精神科治療学 巻: 33 ページ: 1181-1184
• [雑誌論文] 薬剤性精神障害を疑うヒント (2018)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 調剤と情報 巻: 24 ページ: 2251-2254
• [雑誌論文] せん妄（高齢発症） (2017)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 精神科治療学 巻: 32 ページ: 269-273
• [雑誌論文] せん妄リスクとオレキシン受容体拮抗薬 (2017)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 雑誌名: 睡眠医療 巻: 11 ページ: 67-71
• [学会発表] Real-world effectiveness of ramelteon and suvorexant on delirium prevention in 967 patients with delirium risk factors (2019)
  • 著者名/発表者名: Kotaro HATTA, Yasuhiro KISHI, Ken WADA, Takashi TAKEUCHI, Naoko HASHIMOTO, Kiyoko SUDA, Toshihiro TAIRA, Kazuo TSUCHIDA, Takashi OHMORI, Nobuya AKIZUKI, Yuko NISHIO, Yukiko NAKANISHI, Chie USUI, Akiko KURATA, Naoki HORIKAWA, Hiroshi EGUCHI, Shigeo ITO, Hitoshi MUTO, Hiroyuki NAKAMURA, Naohisa UCHIMURA for the DELIRIA-J
  • 学会等名: 6th Congress of Asian College of Neuropsychopharmacology (AsCNP)
  • 国際学会
• [学会発表] 救急入院とせん妄 (2019)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 学会等名: 第47回日本救急医学会総会・学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] せん妄の新たな予防方略の展開とそのエビデンス (2019)
  • 著者名/発表者名: 八田 耕太郎
  • 学会等名: 第115回日本精神神経学会学術総会
• [学会発表] 抗精神病薬の代替となるせん妄治療薬の可能性と実践 (2019)
  • 著者名/発表者名: 八田 耕太郎
  • 学会等名: 第32回日本総合病院精神医学会総会
• [学会発表] 前夜せん妄を呈した患者の当夜の予防方略とsundowning (2019)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎、岸泰宏、和田健、竹内崇、橋本直子、須田潔子、平俊浩、土田和生、大森 隆史、秋月伸哉、臼井千恵、倉田明子、堀川直希、伊藤滋朗、内村直尚
  • 学会等名: 第39回日本精神科診断学会
• [学会発表] せん妄の臨床－従来の抗精神病薬治療から多層的アプローチへの展開 (2018)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 学会等名: 第1回北陸認知症SUMMIT
  • 招待講演
• [学会発表] 教育セミナー6 せん妄 (2018)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎，山内典子
  • 学会等名: 第31回日本総合病院精神医学会総会
  • 招待講演
• [学会発表] シンポジウム 20 せん妄の早期診断、予防、マネジメントにおける新たな展開. 睡眠覚醒サイクルを標的にしたせん妄予防の薬物療法方略 (2018)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 学会等名: 第114回日本精神神経学会学術総会
• [学会発表] S26せん妄と睡眠．せん妄の治療と予防 (2018)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 学会等名: 日本睡眠学会第43回定期学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] Delirium prevention from sleep-wake cycle improvement (2018)
  • 著者名/発表者名: Hatta K, Kishi Y, Wada K, Takeuchi T, Odawara T, Usui C, Ito S, Kurata A, Murakami K, Nakamura H, for the DELIRIA-J Group
  • 学会等名: WFSBP Asia Pacific Regional Congress of Biological Psychiatry 2018
  • 国際学会
• [学会発表] A NOVEL APPROACH IN PREVENTION, PREDICTION, SCREENING AND TREATMENT OF DELIRIUM. Delirium prevention ramelteon study. (2018)
  • 著者名/発表者名: Kotaro Hatta
  • 学会等名: World Psychiatric Association’s Thematic Congress (WPATC) 2018
  • 国際学会
• [学会発表] Novel Approach for Delirium Prevention, Prediction, Screening and Treatment: New pharmacotherapy, machine learning approach and newly developed EEG device: Delirium Prevention Ramelteon Study. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kotaro Hatta
  • 学会等名: American Psychiatric Association Annual Meeting 2017
  • 国際学会
• [学会発表] SY2「高齢者のせん妄：基礎と臨床，治療と予後」，せん妄への予防的アプローチ－RCTの成果を中心に． (2017)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 学会等名: 第22回日本神経精神医学会
  • 招待講演
• [学会発表] SY1「せん妄診療up-to-date 軽い意識の曇りに潜在するリスクと増加する高齢救急患者に対応するために」，せん妄の治療と予防． (2017)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 学会等名: 第25回日本精神科救急学会学術総会
  • 招待講演
• [学会発表] SY16「せん妄診療における抗精神病薬批判をどう捉えるか？」，コンサルテーション・リエゾン精神医学の立場からせん妄診療における抗精神病薬批判をどう捉えるか？ (2017)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 学会等名: 第27回日本臨床精神神経薬理学会
  • 招待講演
• [学会発表] WS2 せん妄マネジメントの極意． (2017)
  • 著者名/発表者名: 八田耕太郎
  • 学会等名: 第113回日本精神神経学会学術総会
  • 招待講演
• [図書] Management of Sleep Disorders in Psychiatric Patients (2020)
  • 著者名/発表者名: Hatta K
  • 出版者: Oxford University Press
• [図書] 今日の治療指針 2020年版［デスク判］ (2020)
  • 著者名/発表者名: 福井 次矢（編集），八田耕太郎（分担）
  • 総ページ数: 2192
  • 出版者: 医学書院
  • ISBN: 4260039393
• [図書] 今日の診断指針 ポケット判 第8版 (2020)
  • 著者名/発表者名: 永井 良三（編集），八田耕太郎（分担）
  • 総ページ数: 2079
  • 出版者: 医学書院
  • ISBN: 4260038095
• [図書] 今日の疾患辞典 (2020)
  • 著者名/発表者名: 永井良三（編集），八田耕太郎（分担）
  • 出版者: プレシジョン
• [図書] 今日の問診票/診断辞典 (2020)
  • 著者名/発表者名: 徳田安春（編集），八田耕太郎（分担）
  • 出版者: プレシジョン
• [図書] 今日の患者説明資料 (2020)
  • 著者名/発表者名: 笠井 清登（監修），八田耕太郎（分担）
  • 出版者: プレシジョン
• [図書] 研修医のための精神科ハンドブック (2020)
  • 著者名/発表者名: 日本精神神経学会（編集），八田耕太郎（分担）
  • 出版者: 医学書院
• [図書] Management of Sleep Disorders in Psychiatric Patients (2019)
  • 著者名/発表者名: Hatta K
  • 出版者: Oxford University Press
• [図書] ナースの精神医学 改訂5版 (2019)
  • 著者名/発表者名: 上島国利, 渡辺雅幸, 榊恵子
  • 総ページ数: 402
  • 出版者: 中外医学社
  • ISBN: 9784498175020
• [図書] こころの治療薬ハンドブック 第11版 (2018)
  • 著者名/発表者名: 井上 猛、桑原 斉、酒井 隆、鈴木 映二、水上 勝義、宮田 久嗣、諸川 由実代、吉尾 隆、渡邉 博幸
  • 総ページ数: 420
  • 出版者: 星和書店
  • ISBN: 9784791109746
• [図書] PEECガイドブック : 救急現場における精神科的問題の初期対応 : 多職種で切れ目のない標準的ケアを目指して (2018)
  • 著者名/発表者名: 日本臨床救急医学会、PEECガイドブック改訂第2版編集委員会
  • 総ページ数: 320
  • 出版者: へるす出版
  • ISBN: 9784892699504
• [図書] 救急医療における精神症状評価と初期対応（PEEC）ガイドブック改訂第2版－多職種で切れ目ない標準的ケアを目指して－ (2018)
  • 著者名/発表者名: 日本臨床救急医学会
  • 出版者: へるす出版