研究課題
基盤研究(C)
エストロゲン受容体(estrogen receptor:ER)陽性HER2陰性早期乳癌において、乳癌組織を用いて晩期再発や予後に関与する因子を検討した。閉経後症例において、PIK3CA mutant症例はwild type症例と比較して有意に無再発生存期間が長かった。AKTセリン473リン酸化低発現症例は高発現症例に比べて有意に無増悪生存期間が長く、ERαセリン167リン酸化高発現症例は低発現症例に比べて有意に無増悪生存期間が長かった。閉経後ER陽性HER2陰性早期乳癌においてPIK3CA遺伝子変異とAKTセリン473およびERαセリン167のリン酸化は予後に関与すると考えられた。
エストロゲン受容体陽性乳癌では初回治療後5年以降に再発(晩期再発)する症例が存在する。晩期再発乳癌は増殖が遅く培養細胞が樹立できず、晩期再発のメカニズムは未だ解明されていない。本研究で晩期再発乳癌に特徴的な乳癌組織における遺伝子変異および遺伝子発現を同定することにより、晩期再発のメカニズムの解明に繋がり、新たな治療戦略をもたらす。晩期再発乳癌の予後予測因子の同定により、術後長期の内分泌療法の適応症例が明確となる。
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