研究課題
基盤研究(C)
我々は、肛門不全ラットを用いた研究により、肛門機能改善を試みた。脂肪幹細胞の移植により、肛門機能は改善したが、組織学的に筋肉の再生を証明することはできなかった。ヒトへの脂肪幹細胞移植による肛門機能の改善は困難と判断して、肛門括約筋刺激による肛門機能の改善を試みた。ラットでは筋肥大による肛門機能の改善が認められたが、ヒトへの応用までには至っていない。
我々の本来の研究の目的は、直腸癌患者に対する肛門温存手術後に生じる患者の肛門機能低下を改善させ、患者のQOLを向上させることにあった。肛門温存手術では、自然肛門が温存される反面、頻便や便の漏出などの肛門機能の低下がしばしば生じる。直腸を再生させる研究は困難と考え、肛門括約筋の再生を試みた。脂肪幹細胞は現在、実用するまでに進歩しているが、クローン病の痔瘻手術の再発予防などへの仕様に限られ、肛門機能の改善に関係する横紋筋の再生には至っていない。我々は、残存肛門括約筋を増強させる方向性に転換し、この方法であれば臨床応用も現実味を帯びてきていると感じている。
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