研究課題
基盤研究(C)
我々は、短鎖脂肪酸GTA-446が大腸がんの早期発見に有用なバイオマーカーとなる可能性を報告した。本研究では、臨床用に開発した新規測定システムにより末梢血での大腸がんスクリーニングの可能性を検討した。大腸がん患者225名と健康ボランティア916名の血清サンプルをフローインジェクション分析-質量分析法によりGTA-446濃度を測定したところ、大腸がん患者では健常者ボランティアと比較して、また女性は男性と比較して有意に低下していた。感度および特異度は83.3%および84.8%であり、GTA-446測定は、大腸がんのリスクが高い集団を特定するための一次大腸がんスクリーニングの有望なツールである。
GTA-446 は、腫瘍に内在するもしくは腫瘍から分泌されるような従来のバイオマーカーとは異なり、腫瘍の存在や腫瘍量に影響を受けず、低値であることが大腸癌発生を強く反映する大腸癌特異的なバイオマーカーである。本研究によりGTA-446 の有用性を検証し、健常人を対象として大腸癌罹患の危険性の高い群を抽出することで、効率的な2次検診対象者の絞り込みと、積極的な2次検診実施が期待できる。また大腸癌の早期発見、早期治療によって大腸癌の予後改善が、さらには高価な化学療法剤や分子標的薬の使用を回避できるようになれば、大腸癌患者の薬剤有害事象からの解放と、医療費抑制による医療経済の改善も期待される。
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