研究課題
基盤研究(C)
下肢静脈瘤血管の張力変化について検討した結果、血管径あたりの収縮力は、下肢静脈瘤血管で有意に減弱していた。血管内径 6 mm 未満の下肢静脈瘤血管では、正常血管の収縮力と比較して有意な差は認められなかったが、高度に拡張した下肢静脈瘤血管においては有意に減弱していた。血管内径6 mm未満の下肢静脈瘤血管の収縮力の間に有意な差は認められなかった。さらに、高度に拡張した下肢静脈瘤血管では、中膜平滑筋の萎縮や線維化がみられた。下肢静脈瘤血管において、血管内径の拡大により血管反応性が変化し、一定の大きさまでは収縮力が保たれていることが確認された。
下肢静脈瘤とは、下肢の静脈壁の一部が薄くなりその血管が膨らんで血液が滞ることで起こる疾患である。血液が逆流して静脈が拡張・蛇行するとの報告があるが、未だにそのメカニズムの詳細については明確にはされていない。高齢化社会を迎えた現在、生涯にわたり快適な生活を送り続けるためには、早期予防と早期発見、適切な治療に積極的に取り組むことが重要である。国内外で実際に下肢静脈瘤の初期進展段階における血管機能の変化に着眼した科学的検討はなされておらず、詳細なメカニズムの解明が求められている。食生活の変化や高齢化社会の進展などにより、下肢静脈瘤患者が年々増加する中で、本研究の社会的意義は大きい。
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Biological & Pharmaceutical Bulletin
巻: 43 号: 12 ページ: 1979-1982
10.1248/bpb.b20-00591
130007948737