研究課題
基盤研究(C)
平成30年度は、ビノレルビンに対する耐性化メカニズムに関して、論文化された内容に沿って、さらなる臨床的解析を行い、有意な結果を得た。我々は、昨年度までの研究の結果、肺癌細胞株において、ビノレルビン長期投与による、薬剤耐性化株を作成した。それらの網羅的遺伝子発現解析から、標的となる経路、遺伝子を見出し、ABCB1とFocal Adhesion経路の活性化が高度耐性化のメカニズムであることをin vitro実験により証明した。さらに、ABCB1阻害剤やDasatinibやSaracatinbといった臨床応用されているSrc family kinase(SFK)阻害剤を使用して、耐性化の克服が可能であることを実験的に証明した。しかし、約60例のビノレルビンを術後補助療法に使用した肺癌切除例の解析では、pSFK発現量による群別に、無病生存期間、生存期間の違いは見られなかった。今年度は、これらの臨床的検討をさらに深めることとした。昨年度 in vitro実験でSFKの中でも、cSrcとFynのknockdownによる耐性化克服の程度に相違が確認できた点から、SFKの中でもさらに個々の分子に絞った解析が必要と考えられた。特にFynのknockdownによる耐性化克服は著明であった。そのため、同一のコホートを用いた免疫染色をリン酸化Fyn及びABCB1の発現量で群分けし、臨床的予後解析を行った。その結果、ABCB1高発現群、pFyn高発現群で有意に予後不良となり、ビノレルビン耐性機序に関する仮説が臨床的にも裏付けられた。
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Cancer Medicne
巻: 7(2) ページ: 408-19
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