研究課題
基盤研究(C)
ミトコンドリアDNA(mtDNA)は個々に多型が存在する。生殖医療において第三者のミトコンドリアを移入する治療が報告されているが、mtDNAと核遺伝子との適合性に関する研究は極めて少ない。本研究では第一に、同一核型に亜種mtDNAを置換したコンプラステック疾患マウスを独自に作製し、その病態を解析した。第二に、これらマウスからB6マウスと亜種マウスmtDNAが混在するヘテロプラスミーのES細胞を作製した。第三に、ミトコンドリアを標的する複数のタンパク質を連結したTALEN改変ベクターを作製してミトコンドリア標的への最適化を試み、一方のmtDNAを特異的に切断し除去することを確認した。
近年、生殖医療において、ミトコンドリア遺伝子異常症の遺伝子治療法として受精卵への前核置換法が用られるが、二者のmtDNAが混在するヘテロプラスミーの状態となる。しかし、mtDNAと核遺伝子との適合性に関する研究は極めて少ない。本研究では、疾患モデルマウスをベースにした疾患コンプラステックマウスを作製し、ミトコンドリアと核の適合性により症状の変動を示したことは、学術的意義がある。また、mtDNAのヘテロプラスミーを解消する遺伝子治療法を開発することは非常に重要で社会的意義がある。複数のミトコンドリア標的シグナルおよびタンパク質を検討し、TALENのmtDNAへの標的を最適化した意義は大きい。
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