研究課題
基盤研究(C)
我々は子宮内膜症患者の腹水における潜在型制御性T細胞とエフェクター制御性T細胞が増加し、LAPと呼ばれる陽性マクロファージが減少していること、その結果活性型のトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)と呼ばれるサイトカインが増加していることを明らかにした。次に、子宮内膜症に罹患しているカニクイザルに対する月に1度の腹腔鏡観察を行うことで、ヒトと同様に進行性の病気であることを明らかにした。さらに、ヒトとは異なり膀胱子宮窩に子宮内膜症病巣を高頻度に認め、ヒトで高頻度に認める内膜症性嚢胞は認めなかったことを見出した。さらに、サル子宮内膜症の腹腔鏡所見による重症度スコアも作成できた。
本研究では子宮内膜症患者の腹水中マクロファージがTGF-βの産生源であることが示唆され、その制御により治療につながる可能性が考えられた。また、カニクイザルの子宮内膜症がヒトと同様に進行性の病変であることを確認し、腹腔鏡観察による評価方法を作成したことで、子宮内膜症治療の動物モデルとしてカニクイザルが有用であることを示すことができた。また、サルに対する体外循環カラムの実験系も確立できた。不妊と疼痛を主訴とする子宮内膜症の新規治療法の確立のための土台作りは本研究課題で達成できた。これらは少子・晩婚化の現在に社会的意義のある基礎研究となりえたと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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