研究課題
基盤研究(C)
嗅覚障害の鑑別診断における嗅神経可視化の有用性を201Tl (タリウム) 経鼻投与によるオルファクトシンチグラフィで明らかとした。対象は本学嗅覚外来受診者でオルファクトシンチグラフィを施行した嗅覚障害成人患者、および健常成人ボランティアである。孤発性パーキンソン病嗅覚障害例、感冒後嗅覚障害例および健常ボランティアとでタリウム嗅球移行率を比較した。健常ボランティアと比較し嗅覚障害患者群においてタリウム嗅球移行率の低下を認めたが、嗅覚障害患者における各原因別の有意差は認めなかった。パーキンソン病と感冒後嗅覚障害との鑑別に嗅球移行率に代わる新たなタリウム集積の解析マーカーの必要性が明らかとなった。
これまで病態が十分には明らかでなかった早期パーキンソン病の嗅覚障害において、嗅神経を画像評価可能な新規分子イメージングの「オルファクトシンチグラフィ」により、脳内への嗅神経輸送機能障害が明らかとなった。脳内への経鼻的薬物送達システムを利用したパーキンソン病に対する治療研究において、対象患者に対して嗅覚検査やオルファクトシンチグラフィを用いた嗅神経障害の有無の評価が重要であることが示唆された。オルファクトシンチグラフィは本研究グループが世界に先駆けて開発した分子イメージングであり、本邦における脳神経疾患の診断と治療に大きく貢献できると考えられる。
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