研究課題
基盤研究(C)
黄斑浮腫は短期的には組織間液の貯留によると考えられるが、この過程で網膜神経細胞障害を生じて最終的に不可逆的な網膜変性を来し、大きな臨床的意義を持つと考えられる。マウス眼球に眼内ATPの眼内投与を行い、黄斑浮腫による黄斑変性の主要な原因と考えられる、網膜細胞死、網膜変性が観察された。マウス眼球にATPとBBGを投与したところ、網膜神経細胞死は抑制された。我々が手術補助剤として開発したBBGには内境界膜染色作用以外にも網膜浮腫に伴う神経細胞死を抑制した。培養細胞および動物モデルを用いて、細胞外ATPが黄斑の網膜細胞し、黄斑変性を引き起こ し、治療標的となり得る可能性を示すことができた。
黄斑浮腫にはATPを介した網膜神経細胞死が重要な役割を果たし、網膜変性から視力障害を起こすことが示された。我々が手術補助剤として開発したBrillinat Blue Gには内境界膜染色作用以外にも網膜浮腫に伴う神経細胞死を抑制しうることが証明された。BBGは米国FDAでも眼科手 術時に内境界膜剥離に使用する剤として認可をうけた。このように培養細胞および動物モデルを用いて、細胞外ATPが黄斑の網膜細胞し、黄斑変性を引き起こ し、今後治療標的となり得る可能性を示すことができた。
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日本眼科学会雑誌 (0029-0203)125巻3号 Page266-284(2021.03)
巻: 125 ページ: 266-284