研究課題
基盤研究(C)
本研究では細胞膜スフィンゴ脂質代謝産物のスフィンゴシン・1リン酸(S1P)シグナルが組織線維・瘢痕化で上皮ー間葉系移行制御に関与しているか否かに着目した。後発白内障モデルとして水晶体穿孔外傷での水晶体上皮細胞のEMTを検討した。同受容体3型欠損マウスでは、EMTマーカーの平滑筋アクチン発現開始が遅延していた。角膜内皮の上皮(内皮)ー間葉系移行EnMTによる内皮面の線維化を検討した。1規定NaOHでマウス角膜アルカリ外傷を作成すると、角膜内皮細胞のEnMTによって内皮面に線維化病巣が形成された。角膜内皮EnMTと線維化は、野生型マウスとS1P3受容体欠損マウスの間に差異は観察されなかった。
臨床的に水晶体上皮細胞のEMTは白内障手術で挿入された眼内レンズ周囲の残存水晶体嚢の線維性混濁(後発白内障)による視力低下や眼内レンズの変位の原因である。今研究では後発白内障の発症機序にS1Pシグナルが関与していることが明らかとなった。S1Pシグナル阻害による予防効果が示唆された。一方、角膜内皮細胞のEnMTによる線維性病変の形成は、高度の角膜炎症疾患や炎症に合併する。同病変の形成にはS1PR3シグナルの関与が少ないことが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 7件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (1件)
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