研究課題
基盤研究(C)
本研究費では、P. gulae 各線毛タイプ株のヒト歯肉上皮細胞株Ca9-22株への付着侵入をプロテクションアッセイを用いて解析した。全ての菌株が歯肉上皮細胞に付着するが、C型線毛保有の2株とB型線毛保有株1株のみ細胞内に侵入することが明らかにした。歯肉上皮細胞への付着侵入は、インテグリンɑ5β1を介し、細胞膜のアクチン重合や代謝の調節因子だけでなく、菌が保有するプロテアーゼが関与することも明らかにした。C型線毛保有株の侵入能は、最も宿主傷害能を有するP. gingivalis II型線毛保有株と同等の侵入能を有することから、歯周病発症に関わる口腔細菌であることが示唆された。
人畜共通感染症の可能性をもつP. gulae 感染による歯周病発症の解明は、今後増加が予想される動物由来歯周病菌による感染症に対する創薬、予防方法や治療方法の開発、医療関係者や患者への教育内容充実が十分考えられることができる。本研究課題により解明したP. gulae感染による歯周病発症との関連性は、特に、伴侶動物を飼育する歯周病患者のクオリティー・オブ・ライフ維持へとつなげるためへのテーゼとなり、社会的意義も非常に高いと考えられる。
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