研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、唾液やプラークと比較した根管内細菌叢の特徴を把握することである。根尖性歯周炎に罹患した歯を有する患者13名から同意を得て、唾液、プラーク、患歯の根管壁象牙質削片を収集し、細菌DNAを抽出、16S rRNA遺伝子のV3-V4領域をターゲットに増幅、標識し、イルミナMiSeq上でシーケンシングを行い、QIIME2を用いて多角的に解析した。その結果、唾液やプラークの細菌叢に比べ、根管内細菌叢はより嫌気的で、Firmicutes門が多く、ActinobacteriotaおよびProteobacteria門が少ないこと、同一個人でも差を生じることが判明した。
根尖性歯周炎は歯科臨床現場において高頻度で遭遇する歯内疾患であり、その原因は根管に侵入定着した口腔細菌である。約1000種とされるヒト口腔細菌のうち一人が保有するのは100-200種のため、感染根管から検出される細菌はレポートにより大きく異なる。現在、根尖性歯周炎の病因は特定の菌ではなく、細菌叢すなわち多種多様な細菌の集合体と考えられており、次世代シーケンサー(NGS)を利用した細菌叢の解析が進行中である。本研究を通じて明らかとなった感染根管内の細菌叢の特徴を踏まえ、従来の標準治療法より普遍的かつ効率的な根管治療法が開発され、国民の健康増進に資するることが期待される。
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