研究課題
基盤研究(C)
歯周炎と早産・低体重児出産の結果との間には相関が認められているが、そのメカニズムは未だ不明である。本研究の目的は、Porphyromonas gingivalis(Pg)感染が出産に与える影響を明らかにすることである。ヒトを対象とした研究において、、血清中の抗Pg-IgGサブクラス1の量は切迫早産に関連し、抗Pg-IgGサブクラス4の量は低体重児出産に関連することが明らかになった。Pgの静脈注射により、妊娠Slc:ICRマウスに菌血症を誘発することで菌血症モデルマウスを作成した。特に妊娠後期におけるPg感染は、低体重児出産および胎盤・臍帯における炎症を引き起こすことが明らかとなった。
早産・低体重児は新生児の疾病罹患率、死亡率を増加させる有害な病態である。また、胎児発育不全は出生後の予後が不良となることもあり、周産期死亡率や精神発達遅滞の発症率も高く、成人後も疾病罹患率が高いなど軽視できない病態である。本研究はP. gingivalis感染が低出生体重児出産を引き起こすことヒトおよびマウスモデルで示した点が非常に興味深く、歯周病が早産・低体重児出産に影響を及ぼすメカニズム解明の一助となることが期待できる。
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