研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、歯周炎と関節リウマチ(RA)の新たな関連機序を解明するため、RA患者群と年齢・性別・喫煙・歯周状態が同程度の対照者群を対象に血清中のカルバミル化ペプチド(CarP)および好中球細胞外トラップ(NETs)の発現についてプロファイリングを行うことである。その結果、RA患者群のCarPおよびNETsの血清濃度は対照者群と比べて有意に高い値を示した。また、CarPおよびNETsの血清濃度は歯周炎重症度と正の相関を示し、歯周病治療によって有意に低下した。以上の結果から、血清のペプチドカルバミル化とNETs形成を介した歯周炎とRAの関連が示唆された。
これまで歯周炎と関節リウマチ(RA)関連報告の殆どは、翻訳後修飾シトルリン化を介した関連機序に関するものであった。しかし、シトルリン化陰性でも歯周炎とRAを併発する症例は相当数実在し、シトルリン化のみでは説明限界があった。そこで本研究では、好中球細胞外トラップ(NETs)形成に伴う別の翻訳後修飾カルバミル化について検証した。その結果、NETsおよびカルバミル化を介した歯周炎とRAの関連が国内外で初めて実証された。これは、新たなRA病因論につながる点で学術的独自性が高いといえる。さらに、口腔ケアや歯周病治療によってRA改善が将来的に期待される点で社会的意義は大きいと考えられる。
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