研究課題
基盤研究(C)
近年、口腔内細菌により、緑黄色野菜や唾液に含まれる硝酸塩が代謝され、抗菌作用・血管拡張作用を持つ亜硝酸塩が生じ、我々の健康維持に寄与している可能性が注目されている。しかし、この亜硝酸産生に関する詳細は不明な点が多いため、その全容を明らかにすることを試みた。その結果、口腔内の亜硝酸塩産生活性は、個人差が大きく、舌苔よりも歯垢で高く、また口腔Actinomyces属、Schaalia属、Veillonella属などの口腔常在細菌として知られる細菌群が、主にその産生に関わっていることを明らかにした。また、それらの亜硝酸産生活性は、酸素濃度などの様々な環境因子により大きく変動することも明らかにした。
亜硝酸塩は、その抗菌作用による口腔疾患の予防効果と、全身の血液拡張効果を通した循環器疾患予防効果に注目が集まっており、「口腔内細菌の代謝活動が口腔・全身の“健康”と関わる」という視点でのさらなる研究展開が期待される。また、本研究の知見からは、口腔細菌による亜硝酸塩産生が主に常在菌によって行われ、さらに環境によりその産生活性が調節されうることが明らかとなったことから、それらを利用し、口腔・全身疾患の予防効果を高める方法の開発に寄与する可能性が考えられた。
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