研究課題
若手研究(B)
本研究では、水蒸気を使用した安全な食品加工法である「湿熱処理」を複数品種の玄米に適用し、その影響を生理的機能性と物理化学的特性の面から検討した.湿熱処理によって、もともと高アミロース品種の米は難消化性デンプン量が増加し、それにともなう食後血糖値の急激な上昇抑制など、重要な生理機能性の向上が確認されていたが、それ以外にも、中アミロース品種の玄米においても脂質代謝への影響や、吸水性向上、炊飯時の特異臭の低減などのさまざまな効果が確認された。それらの効果は、湿熱処理の圧力条件が強い方が効果的であったが、機能性成分の保持や糊化の抑制などの観点からは、弱い湿熱処理条件の必要性も明らかとなった.
本研究では、これまでに得られている湿熱処理を用いた“食後の血糖値上昇を緩やかに抑制できる米加工食品”の手法を他の米品種にも応用し、国民の健康維持にも有益な新たな米加工食品の開発につなげることを目的とした。水蒸気を用いた安全な湿熱処理の最大のメリットは、難消化性デンプン量の増加に伴う生理機能の向上効果であるが、本研究の成果により、玄米浸漬時の吸水性の向上、炊飯時特異臭の抑制、生理機能性など、別の新たな効果も判明した。これらの科学エビデンスは、湿熱処理の米への利用範囲を拡張させることにつながり、近年の米消費量の減少問題や、玄米食の食味改善に貢献できると期待される。
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