研究課題/領域番号 |
17K13360
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
美術史
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
植松 瑞希 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (70610335)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 中国 / 絵画 / 旅行 / 文伯仁 / 謝時臣 / 明 / 中国絵画 / 蘇州 / 清 / 蘇州版画 / 山水 / 江南 / 明時代 / 清時代 / 文人 / 実景 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国における旅行文化の発展過程の一端を、絵画史研究の立場から明らかにすることを目的とする。遂行にあたっては、明時代、16・17世紀の江南地域で作られた旅行絵画の事例研究を重視する。主要な対象として、陸治筆「白岳紀遊図冊」(藤井斉成会有鄰館蔵)、文伯仁筆「四万山水図」(東京国立博物館蔵)、張宏筆「越中真景図冊」(大和文華館蔵)を設定し、様式比較・文献精読・実地踏査の3方向からの検討を試み、旅行絵画としてのそれぞれの作品の歴史的価値を論じようとするものである。 本2022年度は、前21年度までに、関連作品との様式比較、関連文献の精読を進めていた、文伯仁筆「四万山水図」についての研究をまとめた。作品の基本情報と画風の史的位置を確認したうえで、その主題と旅行文化との関わりについて論じた。本研究は論文として翌23年度に発表予定である。 また、やはり16世紀に江南で活動した謝時臣という画家の「モウ川積雨図」(東京国立博物館蔵)の旅行文化との関わりに着目し、関連作品と文献の調査を進めた。唐の詩人、王維が別荘を営んだ地として知られるモウ川(陝西省)は、明時代には旅行の目的地としても憧れの対象となっていた。謝時臣は旅行先として人気を集めた名勝を多く描いた画家であるが、「モウ川積雨図」もまたそのような名勝図の一つと位置付けられることが明らかになった。以上は中間報告を口頭発表したほか、論文として翌23年度に発表予定である。 このほか、陸治筆「白岳紀遊図冊」についても関連文献を継続して精読した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本2022年度も、新型コロナの影響により、国内外の博物館・美術館等への調査、中国大陸における実地踏査を積極的に進めることができなかったため。ただし、関連作品の画像データ収集、関連文献の読解は順調に進んでおり、その成果をまとめ、発表することができている。
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今後の研究の推進方策 |
翌23年度は、本研究の最終年度にあたる。本研究の主要な対象のうち、文伯仁筆「四万山水図」の研究はすでにまとまっているので、ほかの2件のうち陸治筆「白岳紀遊図冊」について、描かれた地点への実地踏査を行なったうえで、これまでの研究を整理したい。また、張宏筆「越中真景図冊」についても、関連作品・文献の調査を進める。
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