研究課題/領域番号 |
17K13363
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
芸術一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
亀田 真澄 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (70726679)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2017年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | プロパガンダ / 表象文化 / アメリカ文化 / ソ連文化 / 芸術諸学 / メディア論 / プロパガンダ研究 / ソ連史 |
研究実績の概要 |
本研究では、第一次大戦以降のプロパガンダが、これまでとは大きく異なる性質を持つようになったという仮説に基づいて、それを起こしたのがアメリカとソ連における「幸せな生活」のプロパガンダであったことを明らかにしようとするものである。第一次大戦以前、プロパガンダは基本的にはイデオロギーの「正しさ」を伝えるものだった。このとき、視覚イメージとして用いられたのは主に、そのイデオロギーを象徴するシンボルや記号、スローガンである。しかし、第一次大戦ののち、イデオロギーの「正しさ」よりも、そのイデオロギーによって実現する生活が楽しく幸福なものであるということに焦点が絞られるようになったと考えられる。「イデオロギー的に正しい生き方・考え方をしているから、付随する充足感として、幸せで楽しい生活を送ることができる」という論理から、「生活が幸せで楽しいということはすなわち、イデオロギー的に正しい」という論理へと変化したと考えられるのだ。 恐慌期のアメリカにおいては、 未来への不安と絶望の一方で、どんな生まれの人であっても、不自由のない「幸せな生活」を享受できる可能性があるという希望が蔓延した。一方で、ソ連においても、一九一七年の革命から十五年ほどのあいだ、ソ連では自己犠牲の精神で一心不乱に労働することが美徳とされていたものの、一九三四年以降、大きな方向転換が起こった。 消費や余暇を楽しむことが理想的なソヴィエト人の姿とされるようになったのである。このときソ連当局がさかんに宣伝していた「ソヴィエト的生活様式」は、「アメリカ的生活様式」の一種のアダプテーションだったと言える。 本研究では、一九三〇年代のアメリカにおいて、ニューディール政策の一環としての国力回復プロパガンダに用いられ、さらにそれがソ連へと伝わり、共産主義的な「幸せな生活」を広めるプロパガンダへと姿を変えていった過程について分析した。
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