研究課題/領域番号 |
17K13414
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 京都大学 (2018-2019) 法政大学 (2017) |
研究代表者 |
小林 久美子 京都大学, 文学研究科, 准教授 (30634117)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | フォークナー / 時間性 / モダニズム / アメリカ文学 / 小説論 / ウィリアム・フォークナー |
研究成果の概要 |
本研究では、「教養小説」の枠組みを用いて「成長」という主体形成のプロセスを描いたフォークナーの代表的作品群の分析を通じて、過去偏重には留まらない作者の時間性への眼差しの内実を詳らかにすることを目的とした。フォークナーの主人公たちが迎える結末は往々にして悲劇的ではあるが、必ずしも彼らは時間の流れに抵抗する「悲劇的英雄」としての道程を歩むわけではなく、むしろ社会参入を進んで試みようとする「成長」の途上にある若者たちである。こうした一筋縄ではいかない人物造形から看取しうる作者独自の時間感覚を、近年の重要な教養小説論の枠組みから考察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フォークナーの代表作を教養小説の枠組みで読むことでその時間性を問い直すという試みは皆無に等しい。アメリカン・ドリームやself-made manのように、劇的な自己変革を尊ぶ米国文化に育ったフォークナーにとっては、フラット・キャラクターの重要性は当然認めるべきものであったが、同時に社会となんとか折り合いをつけようと試みる「成長」の余地を残す登場人物の存在も不可欠と考えていたとみなされる。本研究は、これまで注目されてきたフォークナーの「ロマンス的」な側面から逸脱する彼の「小説」的と呼べる側面を「融和」という観点から検討することで、フォークナー研究に新たな光を投じた。
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