研究課題/領域番号 |
17K13591
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
東 聖子 近畿大学, 国際学部, 准教授 (00735102)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | パンジャーブ / 移民 / コミュニティ / ネットワーク / 文化実践 / 越境 / パンジャーブ移民 / インド / パキスタン / トロント近郊 / 南アジア系移民コミュニティ / 多文化社会 / 文化空間 / 文化的実践 |
研究実績の概要 |
トロント近郊を含むオンタリオ州で、新型コロナウィルスの影響による行動制限のなか、人々の交流が選択的に限定されるようになった。祭礼や人生儀礼などはある程度続けられたが、それらを介した交流の範囲は非常に限られたものとなった。結果的に、同じ宗教を信仰するパキスタン人同士、インド人同士といった交流が選択的に続けられた。この経験において、宗教や出身国による紐帯が再確認されたと同時に、その限定的に選択されたとくに親しい関係においても、どのような行動をとるかにかなりの違いがあることが認識された。その一方で、再開しはじめた移民同士や近隣住人同士の集まりでは、宗教や出身国の差を越えた共通性にあらためて気づく機会になった。このような差異や共通性についての再認識とともに意識されていたのは移住先カナダとの関係であった。行動制限や再入国時の制限、コロナ関連の支援プログラムなど、カナダ在住であることを意識させられ、そのような話題は移民間や居住地域間で共有された。 コロナ禍前の研究において、出身国の枠にとらわれないパンジャーブという地域性に基く共通性は、偶然性を含む公共空間での遭遇により経験および再確認され、それをきっかけに関係性が構築されてきたことが明らかとなっていた。それを踏まえると、インドとパキスタンをまたぐパンジャーブという文化・社会的基盤は、一時的にせよ影を潜めたといえる。しかしながら、再び公共空間での遭遇の機会が戻り、カナダ在住者というアイデンティティがコロナ化を経て明確に共有された今、パンジャーブの文化・社会的基盤はこれまでとはまた異なるかたちで経験されていくのだと思われる。パンジャーブ移民はさまざまな次元での差異と共通性をお互いに見出しつつ、出身国や移住先国というナショナル・アイデンティティを再考し、そのうえでパンジャーブという文化的・社会的基盤を今後「再発見」していくことが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響によってカナダでの現地調査が中断されていたため。2年後に再開したが、現地でもコロナ禍による影響が大きく、聞き取り調査や参与観察の内容を考察する際にも、その影響を鑑みる必要があり、現地調査に行けなかった2年間のカナダにおける社会状況についても調べ、考察する必要が出てきた。またパキスタンでの自然災害や不安定な政治状況、インド側パンジャーブでの過激派による抗議デモなどがパンジャーブ移民に少なからず影響を与えており、それらについても注視し考察が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況の遅延理由にも記したとおり、不安定な出身地の社会状況により、あらたに考慮せざるを得ない事象が多いため、ひとまず、現地調査の中断を余儀なくされる前までの調査内容をまとめる。その後、調査再開以降の内容をあらためて精査することにする。
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