研究課題/領域番号 |
17K13615
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
辻 健太 早稲田大学, 政治経済学術院, その他(招聘研究員) (50737773)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2017年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 生存権 / 人格的自律 / 人間本性論 / 構成主義 / 仮説的構成概念としての自律的個人 / 人格的利益 / 仮説的構成概念としての人格 / 整合説 / 憲法 |
研究成果の概要 |
日本の生存権論の中には人間本性論に立って生存権を人権として導出しようとするものがあるが、その試みは人権享有主体に新たな外部を発見して終わる。人間本性論の立場からは離れる必要が示唆される。 ロールズの人格はそれがカント的教説であれ政治的構想であれ正義に適った社会の基礎構造を明確にするために構成された構想である。ロールズの方法論は人工的なモデルであるのでその成否は論証手続が全体として論理整合的に進められているかという観点から検証されるべきである。ロールズの想定する原初状態の契約当事者たちは自身が障碍などの理由で経済活動に参加できない者である可能性をも考慮して正義原理を選択すると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は人格的自律説のなかに併存しているゲワースとロールズの人権論の構造を明らかにするものである。ゲワースは人間が現有している属性にとっての必要物として人権を正当化したが、このような人権正当化は時に近代立憲主義と緊張関係に立つ。 一方、ロールズはある政治社会が正義に適っているといえるための条件として人権を位置づける。ロールズの人格の構想は正義に適った社会の基礎構造を明確にするために理論的に構成された規範的な構想である。こうした議論を基にするならば、生存権を人間の属性に基礎づける必要はない。この研究により近代主義的な憲法理論との整合性を確保しつつ生存権を基礎づける理論的可能性が開かれたと思われる。
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