研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、X線自由電子レーザー(XFEL)から出射された高強度X線が物質に照射された際に起こるフェムト秒X線ダメージ過程を解明することにある。そのために、ダイヤモンド薄膜を試料としてXFEL照射後にフェムト秒の時間スケールで起こる電子励起や構造変化を時間間隔を制御したダブルパルスX線レーザーを利用することで測定した。実験の結果、XFEL照射後約10 フェムト秒程度で炭素-炭素間の共有結合が破壊されて原子間のポテンシャルが等方的になり、このポテンシャルの変化によってXFEL照射後20フェムト秒後から原子変位が起こることが明らかになった。
高強度のX線自由電子レーザー用いた実験では、パルス幅と同程度のフェムト秒時間スケールで起こるX線ダメージが無視できないという問題点がある。本研究によって明らかになった、電子励起による化学結合の切断や原子変位といったフェムト秒の時間スケールで起こるXFELの物質へのダメージ過程は、X線1分子構造解析などをはじめとした高強度XFELの利用実験を支える基礎となることが期待される。
すべて 2019 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 8件、 招待講演 3件) 備考 (3件)
Nature Photonics
巻: 13 号: 5 ページ: 319-322
10.1038/s41566-019-0365-y
Physical Review Accelerators and Beams
巻: 21 号: 8 ページ: 080704-080704
10.1103/physrevaccelbeams.21.080704
アイソトープニュース
巻: 760 ページ: 23-25
Journal of Synchrotron Radiation
巻: 25 号: 2 ページ: 346-353
10.1107/s160057751800108x
http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180615_1/
http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190305_1/
http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180301_1/