研究課題/領域番号 |
17K14147
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
計算科学
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
岡山 友昭 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (80587866)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 数値解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,解析的な関数に対する超高性能数値計算法であるSinc法を改良し,また適用範囲を拡大していくことである.自然科学・工学では,扱う対象が解析的な関数であることが多く,この場合は既存の汎用手法に比べSinc法が非常に高性能であることが知られている.そこで本研究では,このSinc法をさらに改良し適用範囲を拡大すべく,提案されているSinc法に基づく数値計算法に対し(a)連立系への拡張,(b)Sinc法と組み合わせる変数変換の改善,(c)精度保証付き数値計算法の開発,等について研究を行う.この際,実装が煩雑にならないようSinc法を再定式化することがポイントとなる. 平成29-30年度では,有限区間のみでなく半無限区間全体で微分方程式の初期値問題の近似解を求めるSinc-Nystroem法を改善し,また指数的収束をすることを理論誤差解析により示した.ただし,この方法は特殊関数の計算が重いという欠点があったため,平成30年度にはSinc選点法の開発を行い,実際にSinc-Nystroem法の約半分の時間で計算できることを多くの問題で確認した.令和元年度にはSinc選点法に対する理論誤差解析を行い,Sinc-Nystroem法と同等の収束性能であることを示した.この際,平成30年度で行った半無限区間におけるSinc法の原点・無限遠点での補正・再定式化の結果が役立った.またこれらは連立系への拡張も行っている.令和2年度では,令和元年度で行ったSinc法における刻み幅や和の打ち切り公式の改善,片側急減衰関数に対するSinc法の変数変換の改善や精度保証のための理論誤差評価などを(積分近似から関数近似に)発展させた.令和3年度では,不定積分に対するSinc法の再定式化を行った.令和4年度では,ガンマ関数の近似の誤差評価の修正や,微分近似に対するSinc法の理論誤差評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目標である,Sinc法に基づく数値計算法に対する (a)連立系への拡張, (b)Sinc法と組み合わせる変数変換の改善, (c)精度保証付き数値計算法の開発, についてそれぞれ成果を挙げている.またSinc法における刻み幅や和の打ち切り公式の改善,片側急減衰関数に対するSinc法の変数変換の改善や精度保証のための理論誤差評価なども行い,さらなる成果を積み重ねている.ただし新型コロナウイルスの影響により,成果発表や,情報収集,他の研究者との議論などの機会が減っている点が懸念される.
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗は満足のいく段階になってきており,引き続き令和5年度は終了に向け,仕上げおよびアウトプットに集中すべきであると考える.ただし今後に続くサブテーマは研究開発を続ける予定であり,例えばSinc法における刻み幅の式・和の打ち切りの式などの改善やその応用,微分や不定積分に対する基本近似公式の改善などは鋭意進行中である.
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